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2005年11月25日 (金)

におい裁判(ペット編)

『姉歯事件』もどんどん被害が拡大&深刻化していますが、中国吉林省の化学工場爆発に伴う川の汚染も大変なことになっています。あの辺はかなり以前から公害による環境汚染が非常に深刻翻訳はこちら)なのですが、今回の事故は汚染に慣らされてしまったハルビン市民もパニックに陥れているようです。
 10年ほど前、千葉の市街地に近い製鉄所の臭気調査を行いましたが、今回の事故で流出した「ベンゼン」をはじめとして、「フェノール」「クレオソート」「ナフタリン」と思い切りクサいガスの見本市でした。あ、ちなみに。「ベンゼン」は石炭(コールタール)から、「ベンジン」は石油から作るものです。どうでも良い雑学ですが……。

 それで、『裁判』の続き……。
 結局、部屋で感じられる『におい』について、購入者とマンション側の意見が全くかみ合わないまま時間ばかり経過し、購入者の女性は精神的にも疲れて、とうとうその部屋に居ることも苦痛になってしまいました。別にアパートを借りて、そちらで生活する状態。何のためにマンションを買ったのかわかりません。
 それで、このようになった原因は『管理会社のリフォーム工事がいいかげんであった』からであるとして損害賠償請求を起こしました。
 告訴したからには、問題となっている『におい』が存在していること。また、何であるかを証明しなくてはなりません。で、消臭の専門業者を呼んだのですが、消臭屋さんもその『におい』が判りません。かくして、面倒な事態になると呼ばれる臭気判定士が登場いたします。ええ。私です……。

現場立ち入り第一印象。『ごく微かに感じる動物臭。恐らく犬』しかしこんなレベルで眠れなくなるのかな……?と感じました。注意して嗅いでいても、すぐに他のにおいに紛れてしまう程度のものでした。消臭屋さんは分析業者まで動員して床下の臭気測定まで行っていましたが、多分何も出なかったでしょう。まあ、因果関係の証明としては成り立ちますけど……。
 他ににおいが出そうな家具類を全て運び出し、キッチン部分をビニールシートで厳重に塞いで一晩閉めきってみましたが、やっぱりにおいは薄いまま。
 においの強弱によらず、『耐え難い』と感じるかどうかは完全に個人の問題です。購入者がこの薄いにおいが『耐え難い』と感じることもあるのでしょうが、バックグラウンドに紛れる程度のにおいでは根拠が薄弱だろうと考えて、念のため『いつ、どんな時に一番においを感じるか』を直接聴いてみました。そうすると『外から入ってきたとき、寝ているとき』との答え。消臭屋さんの状況説明には含まれていない情報でした。

 『外から入ってきたとき』はにおい状態が違う空間に入るので当然なのですが、問題は『寝ているとき』寝ている間に部屋の中のにおいが強くなるはずがありません。もう動物はいないのですから。とすると……、低い位置に何かあるのか。それとも空気の流れなのか……。
 そう考えて、購入者がいつも布団を敷く位置に寝転がって、静かににおい観察を……。一緒に作業していた他の人たちに奇異の目で見られましたが。すると、時おり漂ってくるはっきりした犬のにおい。
「あら?」です。
 それで、においをたどって匍匐前進。人間のにおいを犬が追うのではなく、その逆です。たどって行った先は、寝室である和室の入り口。襖の敷居と柱の根本。鼻を寄せると、明確な犬のにおいが……。ここに『におい付け』でもしたのでしょうか。位置が非常に低いので、寝てみなければ判らなかったのです。

 『本件において苦情となっている臭気の原因は、前居住者が飼っていた犬が原因である。寝室の敷居および柱の低い位置に、明らかな犬のにおいが付着しており。コートを施されていない木材であるために清掃やリフォーム作業よっても付着したにおいを取り除くことができなかったものと考えられる。
 居室全体から見ると非常に軽微な臭気汚染であるが、就寝時には臭気源に近い場所に頭を置くことになるため、においを感知しやすくなる。また、就寝時には他の感覚刺激が減少するために、嗅覚が働きやすい。管理業者が臭気を認知できなかったのは、このような条件が存在したためである』


 購入者は裁判に勝ちまして、無事に部屋の買い戻しと賠償を受けることができたそうです。ご祝儀を貰いそうになりましたけど、臭気判定士は中立の立場でなくてはならないので固辞いたしました……。

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» 実況検分その後 [賃貸を面白くするためのメルクマール 新館]
においの事件簿ではじめて知った臭気判定士というお仕事。
失礼ながら、世の中にはいろんな仕事があるんだなぁ、と。(笑)
特に犬の話は興味深かった。
そうそう、木って匂いを吸うんだよなぁ。
そのつながりで、今現在まさに私が抱えている問題をひとつご紹介。

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» 臭いネタ [ペンギンと住んでミル・・?]
ペンギンの臭いについていろいろ書いてきましたが、世の中には、『臭気判定士』なる職業があるようです。

いろんな職業があるんですねぇ?

ま、研究もいろいろあるのと一緒かな?!




臭気判定士さんのブログを発見しました。

においの事件簿



ペッ... [続きを読む]

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