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2006年6月25日 (日)

南蛮渡来牛錐缶

 『肉食』のことで、故・開高健御大が、「ヒマワリ油で揚げた薄い子牛肉のカツをたらふく食べたら、翌朝になって黒くて脂っこい、妙に粘りのある○○○が出た。私の場合欧州に滞在3日ぐらいでこうなるのだが、腸にポンとビザのハンコが押されたようなものだ」
 と書いていたことを思い出しました。旅の達人になると、消化器系の分泌もあっという間に現地に対応できるものらしい。
 御大の場合、『サイゴンの露天でチャシュメンを食べ、夜はバーベーバー(ビール)を飲み、従軍記者になってレーションを食べ(ジフィーズを喰っていた記載もある)、ジャングルから命からがら脱出してきた人ですから、生存能力が逞しくなったのでしょう。
 そのジャングル脱出では、200人の部隊が40人程度しか還って来なかった戦闘だったそうです。普通、軍隊では兵員の損耗が40%を超すとその部隊は『壊滅』したと判定されますので、損耗80%なんて本当の『全滅』です。

 夷國の肉食文化のギャップは結構大きなモノでして、たとえばコンビーフ。外国製の代名詞『リビー』と、国産の代名詞『ノザキ』を比べてみましょうか。え? 松坂牛コンビーフ? だめです、1個千何百円もするコンビーフなんて間違ってます。
 第2次大戦中のベーリング海で護衛任務に就いていた英国海軍で、「水兵はコンビーフのサンドイッチしか食べられないのですぞ!」と軽巡洋艦の艦長が補給の悪さを訴えたそうですから。『コンビーフ』ってのは結構ギリギリ一杯の食い物らしいです。
 ちなみに、『フライドエッグのサンドイッチ』だったら我慢できたのかどうか、ちょっと知りたかったり……。

 え?、それで……。どうにも、この、コンビーフの缶を開けるのは苦手なんですが……。子供の頃、オヤジが手を切ったの見たことがありまして、トラウマになってるんですな……。ちなみに、多分『ニューコンビーフ』だったと思います。あれって桜鍋の真ん中あたりに盛ってある肉の味するんですよね。……いや、マズイとかそんなんじゃなく。
 で、開きました。ここからがまた大変で。詰まってる方から肉を上手いこと抜き出さないことには、掘って食べるしか手がなくなるんですな。昔はよくやってましたけど……。
 はい。無事にお皿に引っ張り出したら、豪快にふたつ割りにしてみましょう。『リビー』に比べると『ノザキ』の可愛らしいこと……。
 断面を見ますってぇと、『リビー』は肉の小粒が白い油の中に散らばってる状態、『ノザキ』は細かく裂いた肉が脂で包まれてる雰囲気ですね。このミンチ状肉が、どうにも日本人には受け容れられなかったので、『ノザキ』の社長が工夫と研究を重ねて“日本人にも食べやすいコンビーフ”を作り上げたんだそうです。
 しかし……。何と言っても、喰い難いのはこの脂の量ですな。もう口の中ネッチョネチョ脂コーティング。こいつを保存過剰で水分が減ったパンに挟んで食うなんて、一種の拷問です。確かにまともな人間が喜んで喰うものじゃない。これが『ノザキ』ですと、脂がやや少ないこともあって、まだ我慢できます。

 しかしですね、『牛脂』ってのは非常に厄介なモノでして。非常?に分解し難いんです。バイオ剤のテストで、ビーカーの内側に獣脂を塗って、バイオ剤を吹きかけて溶ける速度を測るのがあるのですが。ラードだと10分程度で分解が始まるのですがヘット(牛脂)は全然溶けません。日単位じゃないと分解してくれないんですね。……こんな恐ろしい脂、喰って平気なのか?
 ってな訳で。当然のことながら、私は『霜降り肉』が好きになれません。舌には美味しくても、あんな脂が消化管の中をヌルヌル流れる状態を想像したくない。やっぱりコンビーフってのは、人間が喰うモノじゃぁないようですね……。

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