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2010年12月24日 (金)

御留の祈り

 昨日は休日でしたが、現場に出向いておりました。

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 世田谷に住んでいた頃には週に何度も来ておりました下北沢。とある住宅のニオイ調査でしたが、その家の構造が複雑でちょっと難しかった。

 一階の和室で臭気が発生する案件でしたが、臭気の質からすると下水管からの空気逆流が疑われました。しかし、床下には下水関係のものは何もないともこと。

 何せ。

 地下に演劇の稽古場が付属しているから。

 稽古で声や足音が響くもので、床も壁も分厚いコンクリートで出来ておりました。それでも換気のダクトを通って音が外に漏れるものだから、給気口を閉めちゃった。

 大人数が稽古する部屋ですから大きな換気扇が2台も付いています。はい、当然もの凄い負圧が発生しました。どうもそこから全てがおかしくなったらしい。原因は和室じゃなくてこっちだな。稽古休みの日にもう一度調べましょう。その前に発声練習か? 臭気判定士、暮れのギリギリまで仕事です。

 それで。先日の上野のお山からの続き。

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 雨が降りだしそうだけど根津へ向かいます。こんなビルに事務所を構えてみたいです。ちょっと周囲がアレなお店ばかりなので難がありますけど。

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 根津神社。國學院大學のフォーラムに参加して以来、神社の見方がやや変わりました。

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 たとえばこの引き上げてある『蔀戸(しとみ戸)』。これは寝殿造りの名残だそうです。ず〜っと昔は神社建築に決まりなんかなかったのですが、6世紀後半に仕様が決まっている寺院建築が輸入されて来ると、こうもてんでバラバラな社殿じゃ見劣りがするってんで、高貴なお方の住まいである宮殿形式を復元して『神社本殿仕様』ってのを作ったんだな。

 だから基本的に神社本殿ってのは『住居』なんだな。神様が住んでいらっしゃるから当然ではあるのだけど。

 で、古代から日本の住居ってのは、建物を正面から見た場合に横から出入りする構造になっている。これは家屋の埴輪なんか見るとよく解るらしい。横から入って奥が家長のいる上座になっている。

 これを考えると、出雲大社で大国主大神が正面を向かず西を向いているのは、別に伊勢に背を向けているのではなくて『昔から建物の使い方がそうだから』ってことになります。

 さらに。大国主大神が横向きに祀られている御神座の間には 板の仕切りがあって仕切られています。 

 これは『大国主から見れば 子孫でもないものに祀られる謂れはないし アメノホヒの子孫から見れば 自分たちの祖先でもないものを祀る謂れはないから』と解釈されているらしいのですが。神社建築学的に見ると『流造など他の形式の本殿なら外の拝所で拝むが、大社造りの本殿は最初から中に人間が入る仕様になっているので、神様だけの場所と人間が入っても良い場所を厳密に分けてある』だけのことです。何しろ大社造りってでかいから。

 うん。神社巡りがちゃんと住宅や建築に関係する話しになってきているぞ。

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 で、摂社の『乙女稲荷』。お稲荷さんの場合、ご神体が自然神の場合もありますので神社建築の標準仕様があてはまりません。まあ、拝殿だけあって本殿がない神社もあるし。垣だけが存在してその中には何もない不思議すぎる神社も存在します。

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 こちらもご神体はなくて穴があるだけです。でも穴稲荷のような古墳の石室ではなさそうです。そして何で「乙女」なのかも解らない。

 一説によればこの穴が『女性のアレに似ているから』だそうですが、ならもうちょっと違った崇められ方をしそうな気がします。本当は限られた人だけが参拝を許される『御留稲荷』だったんじゃないかな? 元はここ徳川綱重さん家で、そこの屋敷稲荷だった『駒込稲荷』もあるし……。

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コメント

う〜ん、勉強になります。
今度ご朱印をいただきに行く時には
そのあたりも詳細チェックしてみます。

こんにちは、くまおやぶん・・・じゃなかった、石川さん。
私は先日ちゃむり本部のサイトを教えてもらった者です。

私のブログでちゃむりを紹介したいのです。
私のブログに載せるのに
このブログの画像か、熊猫日記のそれを
1枚貸していただけないでしょうか?

師匠、ちょっとお尋ねします。

伊勢神宮に見られる、掘立柱式の建て方から礎石式へと、伊勢神宮以外の多くの古い神社は、建築形式を転換したのでしょうか。たとえば、諏訪大社は猛烈に古いですが、伊勢神宮のように掘立柱式ではないですよね。(御柱祭は、掘立柱形式のなごりかと思えますが)

お忙しいのにすみません。
この辺のことを語っているサイトがありましたら、お教えいただければ幸いです。

ひろぽんさん
毎度です♪
神社建築の検証研究、なかなか大変な仕事だったようです。
同じ流造りでも「向拝にかかる庇の軒が継いであるか一体であるかによって意味が違うとか」そんなの改修で神様が留守の時にしか確かめることができません。
でも複雑に見える構造をあれこれ想像するのは楽しいかも…。

白石レイさん
どうも〜♪
調査現場の写真はちょっとだけど、ちゃむりの写真はOKですよ〜。熊猫日記の方は全部フリーです。

バトラー先生
どうもです♪
 寺院建築と神社建築の大きな違いは「寺には土間があるが、神社は高床式で土間はない」ことのようです。
 それから「寺は土壁であるが神社は板壁である」点。これらを考えると神社は基本的に「土」との接触を嫌っているのではないかって気がします。なので土間が本殿にある神社ってのは半端な古さではなく、非常に重要だそうです。
 厳島神社だって、現代の考え方なら海底に深く杭を打って基礎を固めるはずですが、あれは柱を砂の上に置いているだけ。だから本殿の柱は下から海棲生物に食われてしまっています。

 伊勢神宮の「神明造」ですが、あの特徴のある太い棟持柱は建物の構造強度にはあまり関係なく、意匠的な意味が強いらしいです。また「高床・板壁・杉皮葺き」は佐味田古墳から出土した鏡に描かれた有力者の住居の特徴に共通する部分が非常に多いそうです。
 ってことは。伊勢神宮の神明造こそが元々の神社の建て方で、途中から礎石に柱を乗せる方式に変わったとお考えになるのは正しいと思います。何しろ伊勢神宮は古事記にも書かれているし。
 伊勢神宮はしょっちゅう建て直しているから、その辺のマニュアルがブレないでしっかり受け継がれているのではないかと思います。諏訪大社はいつご鎮座したのかも分からないので、何がどうなっているのやら想像もできません。
 しかし、何しろ現在の「神社本殿標準仕様」が成立したのが7世紀の中後期だそうですから、切り替わってよりすでに1300年……。日本ってやっぱり凄い国だなぁ……。

師匠
早速のご解答、ありがとうございます。

師匠にはぜひ小説を書いてください。
なんだったら、出版社をご紹介いたしますよ。

昔(高校時代)、人文地理(こんな科目、今あるのかなあ)の教師が、「洪水のときは神社へ逃げ込め、浸かることはない」と言ってました。そのことが妙に頭の中に残っていて、神社を見るたびに海抜や川からの高さを想像しています。

バトラー先生
どうもです♪
まず力試しで某文庫の小説賞に応募してみました。
伏見稲荷の歴史を下敷きにエンターテイメントを書きました。
2月くらいに結果が出ます。
その後本格的に『物書き営業』を開始したいと考えています。
その節は、よろしくお願いしたいと思います。

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